受給事例
再審査請求で3級から2級になった事例
眼の障害で障害年金請求をしたHさんは、障害等級3級として平成30年11月に支給決定されました。
しかし、視野測定値によれば、障害の程度は2級以上と認められ、これに納得がいかないため平成30年12月に審査請求をしました。
ところが、Hさんの障害は「輪状暗点」ではなく「中心暗点」であると判断され、令和元年11月に審査請求は棄却されました。診断書には「輪状暗点」と記載があるものの無視されていました。
診断書には「輪状暗点」と記載がある旨を理由として、再審査請求をしようかと思ったのですが、記載があるのがわかっていても「中心暗点」であると判断されたのではとの不安がありました。
診断書の測定図を見ると、「両眼斜線部は輪状暗点」と明記されていましたが、中心部が小さくて見えにくい図となっていました。
診断書に「輪状暗点」であることが明記されていても、図から「中心暗点」と判断されたのではないかと思い、病院の先生にお願いして、測定図を拡大した図を出してもらいました。
そして、この図を添付して、令和2年1月に再審査請求をしたところ「輪状暗点」であると判断され、障害等級2級として認められました。
アルコール使用障害(健忘症候群)で1級が受給できた事例
令和2年3月Aさんの弟Bさんより障害年金が受給できないかとの相談がありました。
内容を聞くと、平成16年3月にD病院に医療保護入院をしていることは確かであるとのことでした。
まず、初診日を確定するため、D病院に確認してみると、その前にE病院とF病院にもかかっているようだとのことでした。そこで、E病院とF病院の双方に確認すると、E病院が最初に受診した病医院であるとわかり、E病院で受診状況等証明書を作成してもらいました。
その記載内容を見ると、平成11年頃より、酩酊時の不適切な言動や記憶障害が出現、高価な物を衝動買いするなど金遣いが荒くなり、取引先からも言動が奇異だと言われ、店からの苦情や飲酒運転による自損事故など飲酒時のトラブルが頻発するようになり、平成14年4月に10日間、E病院に入院しています。E病医院ではアルコール使用障害と診断され、治療の必要性が言われ、専門のG病院を紹介されていました。
弟のBさんにその頃の状況を聞くと、Aさんは自分は正常だと言いG病院に行くのを拒否し、G病院には行かなかったそうです。また、障害認定日である平成15年10月頃も病院に行っていませんでした。
その後も警察とトラブルを起こすことがあったり、鍋を焦がし火事になりかけたこともあり、平成16年3月にはD病院に医療保護入院をしています。
D病院退院後もH病院など他の病院で入退院を繰り返し、令和元年I病院では、幻覚・妄想・作り話・認知機能の低下があり、ウェルニッケ・コルサコフ症候群と診断されています。
その後、J病院に入院後も、入院時の記憶はなく見当識障害にもなっていると言われました。
このような状況であり、障害等級1級を受給することができましたが、悔やまれるのは、障害認定日頃全く病院に行っていないため診断書をとることができず事後重症の請求になったこと、障害年金についてもっと早く相談に来られていれば、もっと早くから障害年金が受給できたと思われます。
障害認定日請求が認められ480万円受給できた事例
平成30年12月にXさんより相談がありました。
話を聞くと、平成8年から平成12年頃まで、過呼吸症状でA病院で診てもらったが、症状は軽くなってきたので、平成12年頃には通院を止めています。
そして、平成18年7月頃から、特に初対面の人に会うのが怖く、人前に出れなくなり、また異常にゆううつな気分になったり、無意識のうちに呼吸回数が異常に増えてしまったり外出することができなくなったりした。また、死にたいと思うことも多々あったそうです。
精神的な病気ではないかと思い、平成18年10月に、B病院で診てもらったところ不安障害・持続性気分障害と診断されました。
その後、現在までB病院で治療を受けています。
A病院では診断書は処分され診断など作成できないとのことでした。
しかし、A病院をやめてからB病院に行くまで5年間あるため、前の病気は治っている(社会的治癒)と判断しB病院を初診日として進めました。
B病院の先生は、診断書は書くけど「統合失調症」でもだめだった人もおり、取れるかどうかわからないとの乗り気のない返事だったそうです。
Xさんから症状を詳細に聞き、その内容を病歴就労状況等申出書に記載し、それを先生に渡して、障害認定日の診断書と現在の診断書を作成してもらいました。
診断書の内容は微妙であったため少し心配したのですが、平成31年2月に障害等級2級の認定を受け、遡求額と定期支払額を合せて480万円が平成31年4月に振り込まれました。
20歳直後の障害 年金を支払ってなくて受給できた事例
平成5年1月30日生まれのAさんは、平成25年10月、20歳の時、バイク走行中に路面が濡れていたためバランスを崩して転倒し車と衝突した。病院に救急搬送され、足根骨開放性粉砕骨折、右距踵関節脱臼と診断され、右足関節の血流が途絶えており離断となる。
6か月後より義足をつけて歩行訓練開始、補装具なしの状態で歩行はできず、現在でも長時間の立位保持は困難で、砂浜などでは歩行不能である。
Aさんはは年金は納付していなかったが、平成25年4月に学生納付特例を申請しており、それにより納付要件を満たしていた。
従って、障害基礎年金2級を受給することができた。
もし、学生納付特例の申請をしていなかったら、今回の障害年金は受給できないところであった。
診断書を書いてくれそうな病院探しから始まった障害年金請求
Bさんは、知的障害があるものの、中学校までは普通学校に通い、その後、養護学校の高等部に進学。本人・家族の希望と養護学校進路指導担当者・ハローワーク等のサポートもあり、卒業と同時に就職することができた。知的障害としては比較的、軽度の方であった。
しかし、勤務先では、特定の従業員に対して暴力的になり、職を失なうこととなった。
知的障害は先天性の障害であるので、初診日の証明は不要。しかし、医師の診断書は必要。医師も精神科の医師であることを求められる。母親に確認すると、精神科はもちろん、他に病気もなく、主治医と呼べるような医師はいないとのことであった。
そこで、診断書を書いてくれそうな精神科病院をを探し、相談したところ、当然のことではあるが、「2回位は受診していただかないと、診断書は書けない」との返事であった。
そこで、精神科医に行き診断してもらうことにした。生育歴・職歴をはじめ、学校・家庭・職場での様子、などと、現在の起床から就寝までの生活状況を何度も家族に伺いながら、まとめた資料を持参し、医師に見せて説明し診断してもらった。
第2回の診断の時は、資料にそった質問が多かったが、母親も返事に困ることもなく、非常に順調に、手帳の判定、診断書作成をしてもらった。
その結果、2級の障害基礎年金が受給できた。
初診日から1年6か月よりも早く障害認定日とされた例
Cさんは平成26年11月初旬から食欲不振等がみられたが、嘔吐等・乏尿が出現し、
意識朦朧となったため救急搬送された。
腎機能障害と高度貧血を認め、緊急透析施行するが改善せず、精査加療のため大学病院へ数日内に転院となった。
腎不全については改善せず、不可逆的なものとされ慢性腎不全と診断。
平成26年11月26日より血液透析を継続した。
平成27年3月26日に障害基礎年金の請求をした。
Cさんの場合、その後も人工透析療法を継続したため、障害認定日が通常(初診日から起算して1年6月経過)より早く、平成27年2月26日(人工透析を開始した日から3ヶ月が経過した日)が障害認定日となり、受給権が発生した。
初診日が会社に勤めていた期間中であったため受給できた例
Dさんは、現在は線維筋痛症と診断されているが、それまでの病歴が非常に長く、通院先も非常に多かった。
12箇所以上の医療機関、湯治、接骨院等にかかるが診断がつかなかった。
症状として全身性の疼痛やIBS、微熱やドライアイなどがあらわれ、精神状態も悪化し、現在はメンタルクリニックにも受診している。
治療で一時的な改善はみられるものの、完全に回復はせず、増悪を繰り返し、転院も多く、いつが初診日なのか不明な状態であった。
本人申立てでは、キッカケは膝関節の怪我と思われるといっていたが、因果関係ははっきりせず、また、この怪我が初診日であれば国民年金の保険料を納付していない期間となり、受給要件を満たすことができないものであった。
そこで、複数の医療機関を重なって受診していた病歴を精査したところ、厚年期間中に診療を受けたものが初診日になると思われ障害厚生年金を請求した。
そして障害厚生年金2級を受給することができた。
診断書を書きたがらない医者がいる。
Eさんは両腕が肩より上に上がらなくなったことをきっかけに近医の整形外科を受診した。
初診時は「両肩関節拘縮」「両肩関節周囲炎」「頸椎症」などの診断を受け、リハビリを勧められる。
数回通院したが改善がなかったので通院を中断した。
その後4年ほど受診しておらず、30代後半から走れない、立つことが難しいなど両下肢の症状が進行していた。
他傷病のため受診していた主治医が、杖を持つ姿を見て神経内科受診を勧め、受診した結果、筋ジストロフィーと診断された。
しかし、神経内科の医師は治療法がないからと親身に対応してくれず、障害年金請求のために診断書作成を依頼しても、「請求しても受給できない」などと言って診断書を作成してくれなかった。
その後、症状も悪くなり転院した。
転院した頃には一人で立ち上がることも難しくなっており、咀嚼、嚥下にも軽度の障害が出ている状況。座位の保持も困難な状態であった。
転院先で、診断書の作成を依頼したところ、転院先の医師がすぐに診断書を作成してくれ、無事に1級受給となった。